――聖杯戦争。
 それはあらゆる望みを実現させる、万能の願望機「聖杯」を巡る狂った闘争。
 かつて極東の地方都市「冬木」において行われていた魔術儀式。

 2004年――第五次聖杯戦争が終結。
 ロンドンに本拠を置く魔術協会は事の次第を調査するために人材を派遣した。
 報告によれば、冬木において聖杯の出現は確認されず。
 この闘争に参加した7人の魔術師すべての死亡、及び7騎のサーヴァントすべての消失を確認したという。
 聖杯戦争は、その意義を果たすことなく永遠に失われた。

 ――はずだった。
 時は流れ、2016年。太平洋上における名もなき島で、聖杯らしき物体の反応を確認。
 儀式は再び、絶海の孤島にて行われようとしていた――


 集まりしは、大望を聖杯に託せし7人の魔術師――マスター。


 ――「僕が主催した聖杯戦争に参加してくれたことに、まずは感謝しよう」

 ――「7騎の内、2騎を私たちで埋めてしまえば、それだけで有利になると思わない?」

 ――「成功した。成功した。成功した。成功したぁぁぁあああああ!!」

 ――「よし、俺の願いは今決まった」

 ――「生憎私は、他の生き方を知らん」

 ――「約束してくれ。必ず勝つって!」

 ――「400余人に何と言われようと、俺は人を斬ることはできない」


 従いしは、人類史にその名を刻みし7騎の英霊の分け御霊――サーヴァント。


 ――「愛する人に生きていてほしいという願いの何が悪いというのですか!」

 ――「私は人を殺すことが役目ですが、何のために殺すのか選べるほど器用ではないのです」

 ――「輝かしきものを奪い、貶めるが儂の宿業よ」

 ――「私が人間を許さないのではない。人間が、私を許したのだ!」

 ――「同じ過ちを繰り返さないために俺はここにいるんだ!」

 ――「生きることとは――受け継ぐことだ」

 ――「人生に意味はなく。命というものはどうしようもなく無価値だ」


 そして、取り巻くは――俯瞰する例外たち。

 ――「あなたという命は、何のためにある」

 ――「わたししんじゃうの? しにたくないよ」

 ――「私は、私だけが生きていればそれでいいのです」


 群像吹き荒れる坩堝に放り込まれた魂たちは、果たしていかなる答えを得るのか。
 孤島の聖杯は誰の手に――

 ――亜種聖杯戦争「Pathetic Grail:C」開演。


―キャラクターメイキング:構築/破綻―


 此度の聖杯は正真正銘の願望機。前回の紛い物とは訳が違う。
 求め、争い、狂い、奪え。
 そこに渦巻く人間模様は、きっと私たちを魅せてくれるだろう。


GM:さぁ、聖杯戦争を始めよう。

PL5:サーヴァント事情とかよく知らないんですけどね。

GM:FGOやってれば大丈夫! 分からないところは補足します。


※FGO
 正式名称「Fate/Grand Order」。TYPE-MOON監修の元、DELiGHTWIRKS制作のスマートフォン向けアプリゲーム。
 古今東西の英雄たちの力を借りて、様々な時代を巡り人類絶滅を阻止するというのが大筋のストーリー。
 大変面白いのでみんなプレイするべき(直球)。でも課金はほどほどに後悔のない範囲で。


GM:とりあえずトレーラーとハンドアウトを読みなおしますね。みんな覚えちゃいまい?

PL1:覚えちゃいない。

PL2:覚えてない。

GM:ちくしょー!


―トレーラー―
 ダブクロ聖杯戦争「Pathetic Grail:C――prologue」
 願いを叶える島があるという。
 あるいは藁にも縋るように。
 あるいはそれが当然の如く。
 七人と七騎はその島に集う。

 だが――

 あるいはそれは徒労だったやも知れぬ。
 あるいはそれは絶望だったやも知れぬ。
 なぜなら既に、願いは叶えられていたのだから。
 それは新たなる聖杯戦争の幕開け。
 すでに所有者の決まった聖杯の――是非を問う物語。


GM:今回はプロローグです。判定少なめ戦闘ほぼなし、シナリオ薄味です。

PL3:よし、今日中にシナリオ終わらせますよ!

PL1:きびしそう。

GM:そしてハウスルールとしてサーヴァント勢にはオリジナルの能力と、マスター勢にはキャンペーン中3回限りの令呪の使用が認められています。 その辺も加味してキャラメイクしてください。


※令呪
 聖杯戦争におけるマスターである証。と、同時に3回まで使用できる、自分のサーヴァントに対する絶対命令権。
 命令は具体的であればあるほど強制力があり、瞬間移動や即時回復などの使用法も可能。


GM:まずはPC1のハンドアウト!


ロイス:メリィさん  推奨感情  P:好意/N:隔意
カヴァー/ワークス:高校生/指定なし
 君はどこにでもいる平凡な高校生だ。今日も君はいつもの日常を謳歌している。
 少し口うるさい幼馴染がいて。
 いつもの馬鹿話に興じるクラスメートがいて。
 代り映えのない授業をする教師がいてくれる。
 それが君の日常だ。
 昨日と同じ今日。今日と同じ明日。
 変わることのない。変わってほしくない大切な日常だ。
 ――本当に?
 可憐な口が紡いだのはそんな疑問の言葉だった。
 金髪の少女は静かに見つめる。
 君の右手に刻まれた――赤い刻印を。


PL1:平和な日常やったー!

PL3:どこにでもいる平凡な入れ墨を入れた高校生らしいですよ。

PL1(以下・人見):タトゥーシール張り間違えちゃったてへ。名前は人見好一。「みよっしー」と呼ばれているよ。

GM:みよし。

人見:別人だね!(笑) どこにでもいる普通の高校生だよ。ワークスも高校生にしたよ。なんかいらんこと言われる気がしたから!

一同:(笑)

人見:他に何かいうことある? もうこの時点で何もないけど。

PL4:これから巻き込まれる枠だからな。

GM:指定通りに普通の高校生作ってくれてありがとうございます(笑)。


PC1:人見 好一(ひとみ・よしかず)
年齢:17 性別:男 ブリード/シンドローム:クロス/オルクス・ハヌマーン
ワークス/カヴァー:高校生/高校生
肉体:1 感覚:2 精神:2 社会:3
HP:24 行動値:15
覚醒:探究 衝動:加虐 Dロイス:起源種(オリジナルレネゲイド)
得意技能:〈意志〉〈交渉〉
主要エフェクト:《妖精の手3》《導きの華5》《力の法則3》他
備考:どこにでもいる普通の高校生(なぜか関西風味)。いつもの友人たちと下校している間に聖杯戦争に巻き込まれ、PC3を召喚してしまう。
 わけのわからない状況に置かれても、状況を改善するために足掻くただの人間。


GM:ではPC2。正式な魔術師のマスターです。


ロイス:メリエルム・エーデルリッゾ 推奨感情 P:感服/N:敵愾心
カヴァー/ワークス:魔術師/指定なし
 あなたは自分の力と叡智に自信を持つ一人の魔術師だ。
 突如体に刻まれた赤い刻印――令呪。
 それは壮大な魔術儀式「聖杯戦争」への参加資格なのだという。
 独自に開催地である太平洋上の無人島を見つけだしたあなたは単身島へと乗り込み、
 首尾よく目当てのサーヴァントを召喚することに成功した。
 勢いづいたあなたはそのまま初戦の相手として一人のマスターを見つけ出す。
 メリエルム・エーデルリッゾ。
 名門エーデルリッゾ家の若き当主だ。
 二人連れ(PC1と)のようだが、構うことはないだろう。
 何しろそれだけのサーヴァントを引き当てたのだから。


PL2:この戦い、我々の勝利だ!

PL3:壮大な負けフラグ……(笑)。

PL5:かませ界のレジェンド的発言。

PL2(以下・ジョン):名前はジョン・マクミラン……。コードネームも「ダイ・ハード」にしちまった(笑)。

一同:(笑)

人見:おっ「ダイ・ハード」(映画)かな。

ジョン:もう何しゃべっても「CV:野沢那智」になっちまう(笑)。魔術協会に雇われた魔術師で、詳しいことは始まってからで。


PC2:ジョン・マクミラン
年齢:30 性別:男 ブリード/シンドローム:クロス/ソラリス・ノイマン
ワークス/カヴァー:奇術師/政治家
肉体:1 感覚:1 精神:6 社会:6
HP:28 行動値:8
覚醒:命令 衝動:嫌悪 Dロイス:触媒(カタリスト)
得意技能:〈回避〉〈知覚〉
主要エフェクト:《アドヴァイス5》《戦場の魔術師5》《勝利の女神5》《奇跡の雫5》他
備考:ジョン・マクレーンでもジョン・マクティアナンでもない。
 魔術協会に雇われるフリーランスの傭兵。今回の聖杯戦争には個人の願いではなく、依頼された仕事であるために参加した。
 渡された触媒によって召喚されたサーヴァント・PL4とぎくしゃくしながらも足並みをそろえようとする。聖堂教会とも浅からぬ因縁を持つ。


GM:PC3はサーヴァント枠ですね。そして事前にもらった設定通りですね。


ロイス:PC1 推奨感情 P:任意/N:任意
カヴァー/ワークス:サーヴァント/指定なし
 誰かの求めに応じ、あなたは現界した。
 我が真名は語られねど、我が力は確かにここに在り。
 この身は紛れもなくサーヴァント。ただ仮初の命を賭してマスターを守護するもの也。
 周囲に見えるは三騎のサーヴァント。そして三人の魔術師。
 己がマスターは果たして何者なるや。己が敵は何れ也や。
 そう考える暇も在ればこそ。
 あなたは英霊の力を以て戦場に降り立った。


PL3:PC3のハンドアウト別にハンドアウトじゃないからやりやすいですね。

GM:召喚されたことしか書いてないネ!

PL3:PC4のハンドアウトでPC3の動きが定義される謎のアレ。

GM:自己紹介はどうします?

PL3:召喚されてから自分でやった方が盛り上がると思うので控えます。

GM:それはいい! ではPC4もそんな感じで紹介は後に回しましょう。


PC3:サーヴァントA
年齢:―― 性別:女 ブリード/シンドローム:ピュア/ウロボロス
ワークス/カヴァー:レネゲイドビーイングD/サーヴァント
肉体:2 感覚:2 精神:4 社会:1
HP:78 行動値:8
覚醒:渇望 衝動:闘争 Dロイス:申し子(セレクティッド)
得意技能:〈RC〉〈意志〉
主要エフェクト:《原初の赤:災厄の炎7》《螺旋の悪魔7》《セレリティ1》《原初の黒:ライトスピード1》他
備考:偶然召喚された人見好一のサーヴァント。



ロイス:PC2 推奨感情 P:任意/N:任意
カヴァー/ワークス:サーヴァント/指定なし
あなたは聖杯戦争に参加し、PC2によって召喚されたサーヴァントだ。
 初戦の相手としてマスターが選んだ相手は――魔術師メリエルム。
 しかし、彼女は一人で二騎ものサーヴァントを操る規格外のマスターだった。
 まさかの展開に窮地に陥るあなたたちだったが、
 突如PC1が召喚したサーヴァントPC3の乱入によって、勝負は流れることとなる。
 あなたのマスターPC2はこの状況を不利と断じ、PC1との共闘を持ちかけるようだが……。


ジョン:こ、こんなはずでは……。

一同:(爆笑)

人見:ずっとそれ(かませ)で行くのか!?(笑)

ジョン:いや、無い(笑)。


PC4:サーヴァントB
年齢:―― 性別:男 ブリード/シンドローム:クロス/モルフェウス・ブラックドッグ
ワークス/カヴァー:格闘家/サーヴァント
肉体:6 感覚:3 精神:1 社会:1
HP:93 行動値:7
覚醒:憤怒 衝動:破壊 Dロイス:復讐者(アヴェンジャー)
得意技能:〈白兵〉〈回避〉
主要エフェクト:《雷光撃5》《アタックプログラム5》《ハードワイアード5》他
備考:ジョン・マクミランによって召喚されたサーヴァント。



ロイス:死霊のサーヴァント 推奨感情 P:任意/N:敵愾心
カヴァー/ワークス:聖堂教会代行者/指定なし
 あなたは聖堂教会に所属し、異端者を狩る魔術師狩りの達人――代行者だ。
 そんなあなたに普段とは趣の異なる指令が下された。それが今回の「聖杯候補」探索だ。
 ここでの「聖杯」は主の血を受けた本来のものとは違い、「願望機」としての機能を有したものを指すのだが……今回発見された「聖杯候補」がそうとは限らない。
「聖杯候補」が本当にその機能を有しているのかどうかを確認する、いわば聖杯鑑定とも呼べる指令だったと、あなたは記憶している。
 しかし「聖杯候補」のあるとされる島を降り立った、あなたを待っていたのは――一体の死体と、およそ英霊とは似つかわしくない、死霊のごときサーヴァントであった。


PL5:あ、あずらい~る……(それしか知らない)。

GM:(死霊の方なのか代行者の方なのか)

PL5:先生! 私ステゴロやったらサーヴァントの方々についていけないんですけど!

ジョン:ドラゴンボールを一般人の目線で見る的な(笑)。

GM:あなたマスターでもサーヴァントでもないので、宝具も令呪もありませんからね。そして、人間からサーヴァントへの攻撃はすべて威力半減。ははっ。

PL5:本当にね!

GM:逆に何作ってもいいという自由度はあります。

PL5(以下・ドロッセル):《ウルトラボンバー》とかですね!(笑) というわけで名前はドロッセル。カイン家のドロッセルさんです。

PL3:カイン……。

ドロッセル:レネゲイドビーイングなので実名ではないですが。コードネームは「ハングドマン」。

PL3:ヤバい。カインさんの時点でもヤバいというのに。「リリス」さんと同じくらい聖職者やっちゃいけない名前だと思いますよ。

ドロッセル:実に「大丈夫なのこの人?」な感じではありますね(笑)。

PL3:型月名物、問題のある聖職者……。

ドロッセル:こんな聖杯戦争なんかに生身で放り込まれてる時点で厳しいものがあるんですけどね!

GM:いずれにせよただものではないことは確かですね。


※カイン、リリス
 どちらも聖書に出てくる人名。それも悪い逸話の代表として。


PC5:ドロッセル・カイン
年齢:―― 性別:女 ブリード/シンドローム:クロス/エグザイル・エンジェルハィロゥ
ワークス/カヴァー:レネゲイドビーイングB/宗教家
肉体:2 感覚:7 精神:1 社会:1
HP:25 行動値:15
覚醒:忘却 衝動:加虐 Dロイス:装着者(アイテムユーザー)
得意技能:〈射撃〉〈意志〉
主要エフェクト:《ウルトラボンバー5》《蠢く弾丸2》《デビルストリングス2》《マスヴィジョン3》他
備考:聖堂教会所属の武闘派シスター。異常なほどに獅子唐を好み、ことある毎に口に頬張っている。最終目標が自分が神になることなので、割と不敬。 というか真っ向から教義に反してる系代行者。


―オープニング01:進水式/落日―

 絶望に沈む音が聞こえる。
 黄金の輝きは新たな主人公を照らし出すスポットライト。
 愛した日常は戻らない。文字通り、すべては「水面下」で起こっていた。


GM:ではPC1のオープニングからいきましょう。

人見:はい。

GM:あなたはこれが夢だと自覚しています。

人見:お、おう。

GM:悲鳴。怒号。逃げ惑うたくさんの人々。

ジョン:アイエエエエエエエエ!

PL3:ニンジャ、ニンジャナンデ!?

GM/女性:「誰か、うちの娘を知りませんか!? 探しているの!」

ジョン/男:「うるさいどけぇ!」

GM/子供:「怖いよぉ! 怖いよぉ!!」

人見:じょ、状況が全く見えない! な、なんやねんこれー?

PL4:関西人だったのか。

PL3:確かに「なんでさ」に対抗するには必要な要素かもしれません。

GM:そうこうしているうちに夢の場面が変わります。先ほどの喧騒が嘘のように静かな水の中。揺蕩う水面、底へ底へと導かれて行く人影達。

人見:…………(絶句)。うっそやろ。夢やろ?

GM:そして囁くように小さな助けを求める誰かの声。それはあなたが良く知る人間のもののような気がした――そのとき。黄金の輝きが視界いっぱいを満たし、あなたは目を覚まします。

人見:眩しい!


 目を覚ました人見は、カーテンの隙間から差し込む日の光に気が付いた。
 先ほどの輝きの正体はこれかと、身体を起こしてみれば自室のベッドの上だった。いつもの光景、いつもの朝、いつもの日常。
 何の代り映えのない当たり前の日々の始まり――


人見:なんだ……夢か……。

GM/母親:「好一ー! まだ寝とんのー!」と、あなたを起こす声が。

PL3/母親:「朝ごはん作ってもうたでー! 冷めてまうやろー!」

人見:お、おかんか……。わかったーおかん。食う食う!

GM/母親:「もう、お友達迎えに来てんでー! はよ起きぃ!」

人見:あ、もう来てんの!? ちょっ着替えっから待っててー!

GM:……今更ですけどなぜ関西弁なんです?

PL3:安易なキャラ付ですね。

人見:自己紹介でぽかったから通そうかと思ったけど、俺関西弁しゃべれへんねん。

GM:パチモン関西弁キャラぁ!?


 慌てて身支度を整え、家を出た人見を待っていたのは、見慣れた二人の親友たちだった。
 長い黒髪をリボンで纏め、前に垂らしている姫宮依乃は、数年来の幼馴染。
 もう一人の、いかにもスポーツマンといった具合に短髪にしている相模武とは高校で知り合ったが、不思議と気が合い、こうして一緒に行動している。


ドロッセル:女の子の好感度とか教えてくれそうなタイプですね。

PL3:「何でも聞いてくれよな! 女の子とのこととか!」

人見:相模と、姫宮……。

PL3:きっと名前は分解するとすごい意味が……。

GM:いや、3秒くらいで考えたので深い意味はないです。

PL3:……いや、一応メモっておきましょう。

PL4:こじつける気だぞあいつ!(笑)

GM/姫宮:「今朝は遅かったね。どうしたの?」

人見:う、うぅうう…………(悩み中)。

ドロッセル:どうしました!? まだ食事中でしたか!

PL3/姫宮:「ちょっとぉ、お好み焼き飲み込んでからしゃべってぇ」

ジョン:朝から、お好み焼き!!(笑)

人見:おっとぉ? さてはそれは「でんがなまんがな」的な流れになるのか!?

GM:君はいつまでその雑なキャラ付を押し通すつもりなんですか(笑)。

人見:(いつも悪乗りするドロッセルとPL3を指して)そっちに言えよぉ!(笑)

GM/相模:「どうかしたのか? 早く行こうぜ」

人見:悪い悪い。なんか変な夢見たせいで遅くなってん。

GM/姫宮:「変な夢って?」

人見:なんか世界の終わりみたいな光景でー。気が付いたらみんな水の中に浮かんでてー。

ドロッセル:(すかさず)ドラゲナイ?

人見:……ドラゲナイ。

GM/姫宮:「ドラゲナイ……?」

人見:…………もう忘れちまってる! ゴメン!

一同:(爆笑)


「なんだそれ? ホントに変な夢だな」
 特に気にした様子もなく相模が茶化して、姫宮が微笑む。いつもの朝の風景に、今朝の悪夢への不安が霧消していく。
「そんなことより、今日は生徒指導の佐々木が、校門の前で待ってるらしいから遅れるとまずいぞ」
「ええー? マジでかー。パン食いながら行ったらめっちゃ怒られる奴やん」
 和やかな空気のままに走り出す。
 考えてもわからないことよりも、考えるまでもなく解決しなければいけない問題が優先され、違和感は日常に溶け込んでいく。


PL3:お好み焼きのデザートにパンを食べるんですか? 大食漢ですねー。

人見:だから違う!(笑)


―オープニング02:依頼/不手際―

 いかなる異常事態であっても、それが仕事である限り男にとっては日常だ。
 いつも通りに交渉し、いつも通りに取り掛かる。
 それでも、仕事への同行者くらいは選ばせてほしいと愚痴りたくもなったが。


GM/魔術師:「ジョン・マクミラン。君は『聖杯戦争』という言葉を知っているかね?」

ジョン:知らねぇな。なんだぁそりゃあ。

GM/魔術師:「いや、我々も眉唾な話だとは思っているのだがね。かつて極東の地にて行われた魔術儀式らしい」


 その魔術儀式は7人の魔術師によって執り行われ、それぞれが人類史に名を刻んだ英雄たちを召喚し、使い魔――サーヴァントとして使役する。
 それだけでも怪しい話だが、7人の魔術師はそのサーヴァントを使って互いに争い、最後に残った1人だけが万能の願望機――聖杯を得るのだという。
 そんなトンデモな話だが、魔術協会の総本山――時計塔としても無視できぬ事柄だ。

 噛み砕いてしまえばそれだけの話を、貴族主義染みた大仰さで説明される。


PL3:新規の方でも入りやすいように説明してくれるキャラですね!(笑) 

GM/魔術師:「そして、極東の地で行われたそれと同じものが、ある場所で観測されたという知らせが入った」

ジョン:その場所は?

GM:それは太平洋上の孤島――

PL3:ポイント『a-9V』。

GM:ま、まあそんな感じで(笑)。文字通りの無人島で、人が住んでいた形跡もありません。

GM/魔術師:「重ねて眉唾な話だと念を押しておくが。もし仮に『英霊召喚』などという偉業がそのような場所で行われていたとしたらこれは由々しき事態だ。そこで我が時計塔からの参加者は君に依頼することにしたのだよ」

ジョン:時計塔からは……ってことは、他の組織からも誰か派遣されてる可能性はあるのかい?

GM/魔術師:「ふむ……。聖堂教会が何やら動いているという話は聞いている。仮にも『聖杯』の名を持つ事象だ。奴らとて放置するつもりもないのだろう」

PL3:どこかが動いたら、連鎖して別の組織も動くような人達ですからね。

GM/魔術師:「仮に『英霊召喚』が可能だった場合、『触媒』が必要になるという。今から用意するのも手間だろう。これを使うといい」


 言いながら魔術師は一つのトランクを開く。
 中に収められていたのは一つの古ぼけた首飾りだ。装飾品として艶やかなわけでも、首輪として質実なわけでもない。現在でも手に入るのではないかと思わせるようなシンプルな作りの金属の首飾り。
 鉄ほど硬くなく、銀ほど重くない。さりとて青銅と呼ぶにはいささか趣が違う金属。おそらくは――錫。歴史的価値を除けば決して高額なものにはならないだろう。
 しかし、その歴史の重さは確かな存在感としてジョンの視覚へと伝えられていた。


ジョン:こいつはどういういわれのある代物なんだ?

GM/魔術師:「ふむ。私自身も人に取りよせさせたもので詳しくは知らんのだがね」といって手元の資料に目を通す男ですが。

ジョン:ふむ。

GM/魔術師:「……これはどういうことだ?」


 困惑の表情を浮かべた男は慌てて部下を呼びつけ、何やらがなりたてている。
 やがてこの男にしては極めて稀なことに、申し訳なさそうな表情で弁解を始めた。


GM/魔術師:「いや……すまないこちらの不手際だ。これにまつわる資料が紛失したというのだ」

ジョン:は? 管理してる奴がいたんじゃないのか?

GM/魔術師:「全くその通りなのだが……この件に関してはこちらで調査しておこう。申し訳ないが、君はすぐに現地へと向かってほしい」

ジョン:向かうったって……足は? あと、どういう経緯で俺に依頼が来たの?

GM:雇われの魔術使いとしての依頼ですね。魔術協会としてはそれなりの腕を見込めて、帰ってこなくても痛くない人材です。

PL4:ひでぇ。使い捨てか。

GM:ありていに言えば。そしてそんな依頼は慣れっこな立場であり、聖杯戦争がパチモノだったらこの触媒を売っぱらって逃げてやろうか、くらいの意気込みでお願いします。

ジョン:現地までのアクセスは?

GM:船やらヘリやら用意してあります。色々空港とかを経由していく感じで。

PL3:Fateのヘリは落ちる……?

GM:カプコンじゃない。


 その後も報酬の話、聖杯の扱いなどについて詳しく話を詰めた後、ジョンは部屋を辞する。
 提示された多額の報酬に心躍らせるわけでもなく、迫りくる戦いの気配に慄くこともなく、ジョンの胸中を占めるのは一つの情報だ。
 ――聖堂教会が動く。
 ジョンの家系は、代々教会の経験な信徒だ。親兄弟に至るまで彼を除いて例外はなかった。
 にも拘らず、彼自身は教会が忌み嫌う魔術を身に着け、こうして傭兵紛いの仕事に手を染めている。
 その結果、彼らからのジョンへの認識は信仰を捨てた忌むべき裏切り者だ。そんな間柄の人間たちが戦争の舞台でかち合えばどんなことになるか――
 ――やれやれ。せめて穏当な聖職者であってくれればいいんだが。
 内心愚痴りながら、ジョンは現地に向かうヘリへと乗り込んだ。


―オープニング03:指令/欺瞞―

 そもそもの問題として、彼女は人間ではない。
 ではなぜ、主の血を受けた杯の名を冠する重要な任務に選ばれたというのだろう。
 紛い物の杯には人間擬きが相応しいか。怪物ひしめく戦争の場には、同じく異形が相応しいか。
 そんな余分な思考を表に出さぬまま、ドロッセル・カインは上司の前へと姿を晒した。


GM:では、ドロッセルさん。あなたもまた教会にて上司に呼び出される形です。ジョンと似たような話がされます。

ドロッセル:はーい。(ころころ)辛い!

GM:獅子唐チェック! 登場するたびに1d振って辛いかどうか決めてるんですね(笑)。

ドロッセル:会話中にも急にダイス振り始めたら獅子唐つまんでると思ってください(笑)。

GM:えー。聖堂教会では聖杯っぽいものを「第何号聖杯」って番号づけして呼称するのですが、今回のものはまだそうであるかどうかわかりません。真偽不明の「聖杯候補」の一つとして浮上しました。

ドロッセル:ふむ(むしゃむしゃ)。

GM:あなたにはこの「聖杯候補」が実際に聖杯に足る力を持っているかどうかを現地で調べてきてもらいます。

ドロッセル:はい。

GM:もしも、聖杯戦争が始まってしまったら、「私は教会から派遣されてきた監督役です!」と言い張って、舞台の内側に何とか食い込んできてください。

ドロッセル:わーい。それを、この人の陣営に筒抜けの状態で指令下るんですか(ジョンを指さし)。

GM:筒抜け?

ドロッセル:あ、メタ的な話です(笑)。

GM:なるほど。「聖杯候補」が危険なものだったら破壊か封印を。取るに足らないものだったら悪用しない人間に渡してしまうのも一つの手です。聖杯認定されてしまうと、それはそれで面倒なので。

ドロッセル:何とか内々で処理できればそれに越したことはないと。大事にはできるだけしないように(笑)。

GM:とまぁそういうわけで、聖杯戦争の基本情報も渡されますね。大聖杯がどーたら、小聖杯がうんたら。

ドロッセル:その辺りは以前にも話してくれましたね。……ところでその聖杯。私が使ってしまっても構わんのだろう?(にやり)

一同:(笑)

GM:そ、そういうことをおおっぴらに言うと……(笑)

ドロッセル:怒られちゃいます?(笑)

GM:主に仕えるものとして、偽の杯を欲しがるのかと、信仰を疑われることになりかねませんからね。

ドロッセル:ちょっと言ってみたかっただけなのでお気になさらず(笑)。

GM:あくまで聖杯っぽい何かですからね、こちらの認識としては。気分としては爆発物処理班です。

ドロッセル:なるほど。立ち位置的にはこれが聖杯であっちゃ、むしろ困るんですね。

GM:そういう感じです。

ドロッセル:では、私に任せていただければそのように……。信頼と実績のドロッセル・カインにご期待ください。


 しずしずといった擬音が似合うほどに、音もたてずにその場を辞去するシスター。
 すれ違う人々はその控えめな佇まいに溜息をこぼし、敬虔な修道女を暖かい視線で見送る。
 だが、彼らは知る由もない。この荒事とは無縁といった印象の物静かな女性が、教会の敵たる異端者――魔術師たちを狩る達人、第八秘蹟会所属の代行者であるなどとは。
「ん。―――――辛い!」
 ましてや、その服の下で蠢くものが、何であるかなどと。

 かくして異形の修道女は、無音のままに忍び寄る。杯を奪い合う聖戦へと。


―オープニング04:遭遇/兆候―

 確かに何かがおかしいはずなのに。何がおかしいのか気付けないもどかしさを抱えながら、退屈な授業は終わりを告げた。


人見:終わったー! 帰るぞー!

GM:「今日はまっすぐ帰るー?」「どっかに寄ってくかー?」みたいな感じでいつもの二人との放課後です。

人見:クッソだるい。アカンアカン、寝不足やから帰って寝る。

ジョン:夢とか見てたからなー。

GM:では、その様に帰路についていると、見覚えのないとてもきれいな女性があなた方の前にいるのに気が付きます。

人見:お、おう。学校の外やんね?

GM:です。何というかあれです。どこかの金持ちのお嬢さんがバカンスにでも来てるのかな? って感じの雰囲気ですね。白いつば広の帽子にワンピースの金髪お姉さん。

人見:サングラスとかつけて、やたらに乳出して、後ろにちょっと見た目の良い男の人がいてーな?

ジョン:完全に○姉妹じゃないかー!?

GM:グッドルッキングガイはいません。

PL3:『グッドルッキングガイ』はスタンドですから、普通の人間には見えませんよ。

ジョン:ドドドドドド……。

GM/女性:そうこうしていると、女性の方から、「あら?」とあなたを見つけると同時に嬉しそうな笑顔をほころばせますよ。

ジョン:怪しい……。

人見:なんやこのねーちゃん。知り合いか?

GM/姫宮:「いや、私たちは知らないけど……。みよっしの方見てるよ?」

人見:…………え。どうしよう、気持ち悪いんだけど(吐きそうな声で)。

一同:(爆笑)

GM:わーい男子高校生なのに、美人相手にひっどい!(笑)

PL3/相模:「なんや、好一みたいなタイプが好みなんか、……マニアックやな!」

人見:マニアックってなんやねん!?

PL4:……なぁ、本当にこいつら関西人でいいのか? っていうかここは関西なのか!?

GM:(私に聞かれても困る)

GM/女性:「御機嫌よう。こんにちは」と挨拶してきます。

人見:あ、ああ、ああ。どうも、こんにちは(動揺)。

PL3:「ごきげんよう、おいでやすー」

人見:ああー! 京都人だぁー!

GM:違ぇ!

ドロッセル:今返事をしてしまったので瓢箪の中に吸い込まれますねこれは。

PL3:おっし、彼女の真名もうわかりましたね!(笑) 金髪ってそういう! 銀髪の方もいるのかなぁ!?

GM:何の話をしているんだ!(笑)


 余談ですが、この妄言が当たらずとも遠からずというミラクルを起こしているあたりが、PL3の恐ろしいところ。


人見:(自分を指さし)地元の人でいいのかな?

PL3:だとするとここが大阪だということになってしまいますが。

人見:なってしまうんだよなぁ―!(笑)

GM:このエセ関西弁が通用している時点で、大阪ではありえないのでは!?

PL3:確実に都内……(笑)。

人見:プレイヤーがエセ関西弁だというだけで、キャラクターがエセであるかどうかはまだわからない!

ジョン:それだ!

ドロッセル:というか、場所の指定はないんですかGM!

GM:いや、適当な地方都市でいいかなくらいで。

人見:じゃあ大阪でいいじゃん。めっちゃ地方都市。

GM:関西人に怒られるぞ! ……ふぅ。話を戻しますね。

GM/女性:「突然でごめんなさい。私旅行者なのですけれど、この辺りには不慣れなの」

人見:……道案内とかできるか、わからんけども。

GM/女性:「ええ、構いませんわ。でも、私是非こちらでお友達が欲しいと思っていましたの。旅の醍醐味は出会いですものね?」

ジョン:すっげーな。めっちゃぐいぐい来る。

人見:ええー……!? 地元の学生と出会いを求めんのぉー……? なんか違なーい?

ジョン:くっそ怪しいな。

人見:お友達はなんて言う? っていうかどうしたらいい?

GM:それはもちろん二人とも怪しいという反応です(笑)。メリィさんはそんな様子を意にも介さず「気軽にメリィさんと呼んでくださいね?」と。

人見:ヒィッ。普通に怖ぇ。あれやろ? この後喫茶店とか入ると怖いお兄ちゃんがぞろぞろやってきてなんかいらんもん売りつけられるんやろ?

ジョン:美人局じゃねーか!

GM:色々間違ってないから困る。

人見:あっれー!? 今さらっと。さらっと壺を売るぞ宣言をせぇひんかった!?

PL3:10万円の聖杯を買わされるんですね!

PL4:価格設定がおかしい(笑)。

人見:で、で、どうすればええの? このままついてった方がええ?

GM:いえ。乗り気になれなければこのまま別れても結構です。

人見:じゃ、じゃあちょっと先急いでるんで……。

GM/女性:「あら、それは残念……」


 口ではそんなことを言いながら、その実まったく気にした様子もなく女は口元を隠して去っていく。
「ではまた会いましょう。――人見好一さん?」
 街の雑踏に溶け込みながら、彼女はそんなことを言い捨てていった。たおやかな手で隠された最後の表情。それは獲物を狙う、肉食獣のような笑顔ではなかったか。


ドロッセル:あのこれ、後で出てきたときにもっと怖いパターンなのでは。

人見:なんなん……あの姉ちゃんなんなん……。やばい奴やろ。絶対やばい奴やろ。

ジョン/相模:「なんか、目つけられたんじゃねぇの?」

PL3/相模:「メリィさんとか言うとったで、電話かかってくるんと違うか?」

人見:後ろ振りむいたらアウトな奴やわー。……ヤバいな。メリィさんクッソうさん臭いぞ。


―オープニング05:召喚/不和―


GM:では、PC2再び。いつもの聖杯戦争のようにあなたはサーヴァントを召喚したよ!

ドロッセル:い つ も の(笑)。

人見:先週の戦争が厳しかったんだよなー! とか言いながら今週もいつもの聖杯戦争。

ジョン:ちょっと待って!? 島の調査とか先にしてからしたかったんだけど!

GM:その辺はすでにしたということで。大きな島ですので万全とは言い難いですし、サーヴァントなしの生身で踏み込んだら危険だと思ってください。

ジョン:なるほど。島にもすでに何者かがいると。……ってことは当然こっちの存在にも気づいてるよなぁ。

PL3:へっ、なぁにが無人島だよ。お客さんがいっぱいじゃねぇか!

ジョン:完全にマクレーン(笑)。とりあえず安全なところを確保して召喚するか。

GM:了解です。


 抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ――――
 触媒、召喚陣、詠唱の文言、十分な霊脈のある土地。協会より与えられた手順に従い、サーヴァント召喚の儀式は完了した。
 ジョンの詠唱が終わると同時に、召喚陣の中心に一人の人物が現れていた。その存在こそが此度の聖杯の実在と、英霊召喚の成功を意味するもの――サーヴァントだ。
 ――……少年?
 ジョンが抱いた第一印象は本来英霊に対して抱くそれとは大きく異なっていただろう。目の前の男からは、ともすれば英国の裏路地にでもいそうなみすぼらしささえ感じたのだから。
 年の頃は少年から青年にさしかかる間といったところか。簡素な麻の衣装に包まれた身体はお世辞にも恵まれた体躯とは言い難い。 それこそ、時計塔の近くで見られたようなストリートギャングに混じっていても違和感を覚えないほどに。
 だが、腰に刺した一振りの剣の存在感。そしてその身体から迸る確かな魔力の奔流が、彼を超常の存在であると示し続けていた。
 驚きに目を瞠る中、金の巻き毛を揺らしながら静かにジョンを見据えて男は口を開いた。


PL4(以下セイバー):お呼びかなマスター。我がクラスはセイバー。汝の望みを叶えるもの也。

ジョン:……おいおい、ホントにどんな曰くのある代物なんだよあの触媒。

GM:剣を持っていますし、聖杯戦争において最優のクラスと言われるセイバーであることは間違いないですね! というわけでセイバー。あなたには聖杯から適切な現代知識と聖杯戦争の基本ルールがインプットされています。

セイバー:ほう。事前に何も言われてなかったから心配だった(笑)。

GM:自分の他にも六騎のサーヴァントとそれを従えるマスターが存在し、それらすべてを打倒したとき、あなた方の願いを聖杯が叶えます。あと、基本的に自分の本当の名前――真名は隠しておくものです。弱点とか戦い方とかばれますからね。

セイバー:ん。わかった。

ジョン:とりあえず自己紹介からか? 俺はジョン・マクミラン。魔術協会からの依頼で、ここの聖杯を取りに来た魔術師だ。

セイバー:聖杯って使うとレベル最大値が上がる奴だろ?

GM:それはゲームの話だから!(笑) 聖杯は万能の願望機とも呼ばれ、勝者となったマスターとサーヴァント両方の願いを叶える物です。

セイバー:マジか! 知らなかった……。

ジョン:サーヴァントを召喚できたってことは、聖杯は確かにこの場所にあるってことだな……。俺は雇われて参加したんだが、ろくに詳細も知らないままあんたを召喚したんでな。触媒についても何一つ知らねぇんだ。

セイバー:……そうか。

GM:というわけで名前を教えるか、教えないかは選べます。

セイバー:名前か……言いたくないなぁー……。言いたい名前じゃないな。少なくとも。

PL3:マジですか。

人見:マスターにすら明かさないか。

ドロッセル:令呪ですよ令呪!(笑)

ジョン:いや、3回しかないから使わないが。普通に理由を聞く。

セイバー:…………私が生きていた頃、何一つ誇れるようなことはなかったからな。ここで名前を明かす必要があるとは思えないし、明かしたいとも思えない。

ジョン:要は、生前に何か恥ずかしいことがあって名前を知られたくないってことか?

GM:恥の多い人生を送ってきた……。

PL3:真名確定。

ドロッセル:それ言った人セイバーじゃないでしょ(笑)。

ジョン:まぁでも召喚に応じたってことは何か願いがあるんだろ? それくらいは教えてくれよ。

セイバー:…………助けたい人がいる。以前救えなかった人を。

ジョン:……そうか。まぁ、とりあえずこれから一緒に戦っていくんだ。短い間だが、よろしく頼むぜ(手を出す)。

セイバー:ああ、よろしく。と言うが、握手は受けない。

ジョン:マジか。

ドロッセル:令呪だ令呪!(笑)

GM:すっごくどうでもいいことに使わせようとしてますね!?

人見:「言うことを聞け」っていう雑な命令で一画切るんださぁ早く!

GM:凛ちゃんの悪口はやめてください!(笑)

ジョン:なるほど、こりゃ難物だ。じゃ、精々よろしく。と言ってその場を二人で後にする感じか。

GM:はい。ありがとうございます。


―オープニング06:死に非ず/生に非ず―


GM:ではドロッセルです。夜の闇に紛れて、島へと潜り込みました。ジョンとはまた別の場所なのでかち合うことはありません。

ドロッセル:はい。(ころ)辛くないですね。

人見:獅子唐チェックか。

GM:で、森の中を色々と調査していると――

ドロッセル:ここがあの女のハウスね……!

ジョン:なんか混ざったぞ(笑)。

GM:しばらくすると、何者かが立ち入った形跡のある場所を見つけます。

ドロッセル:む。これは何者かが立ち入った跡! 物色します。

GM:では、成人女性くらいの足跡が続き、そのまま近くの洞窟へと入っていったことがわかります。

ドロッセル:成人女性ですか……。とりあえず追います。

GM:はい。すると洞窟の中には首と右手を斬り落とされて失われている死体があるのを発見します。

ドロッセル:こ、これは……!

GM:そして傍らには血の付いたナイフが。

ドロッセル:調べてみます。

GM:と、そこであなたがナイフを拾い上げると同時に、後ろから声が響いてくるわけですね。

ドロッセル:何奴!

GM:その気配は、サーヴァントなどとは思えぬほど邪気に満ちた……それこそあなたが普段相手にするような悪霊じみたものを漂わせています。

PL3:完全に犯人と間違われる奴ですね(笑)。


「――何者か。振り返らず答えよ」
 闇の向こうからしわがれた声が響く。地の底へと手招きするような妖しさを孕んだ声。悪霊や怨霊めいていながら、それらとは一線を画する存在の重圧に、ドロッセルの背筋が凍る。
 ――動けば殺される。
 そう悟った彼女はせめて相手の位置を探るために感覚を研ぎ澄ませ――そして、さらなる驚愕に襲われる。
 ――十、二十、百、いや……それ以上!?
 ありえない。直前まで背後には誰もいなかった。にも拘らず、瞬きにも満たぬ間にこれだけの数の戦力が揃えられたというのか。


ドロッセル:降参します。降参こうさーん!(一同爆笑)

GM/???:「どうした? 我が問の意がわからぬほど愚昧というわけでもあるまい? 王たる儂が問うておる。疾く答えよ」

ジョン:王様か。ヤバいな。

ドロッセル:……私の名前はドロッセル・カイン。

PL3:通りすがりの獅子唐屋さんだ!

ドロッセル:うん。獅子唐屋さんじゃないですね。

GM:巫山戯た答えを返すとデッドエンドの可能性があるぞ☆

ドロッセル:ですよね! えーと……。

人見:なんかあそこだけガチホラーやってるぞ?

GM/???:「よもやこのような場所に物見遊山などということもあるまい」

ドロッセル:むー…………。洞窟って奥行き止まりですか?

GM:風が吹き抜ける感じはないので行き止まりの可能性は高いです。

ドロッセル:脱出も難しい……。素直に聖堂教会の人間と話します。

GM/???:「ほう? 聖職者がこのような場所に来るとはな。では重ねて問おう。貴様はマスターか、否か?」

ドロッセル:……いえ。私はこの地に監督役として遣わされたものです。

GM/???:「監督役だと……? …………。なるほど、嘘は言っていないようだな。確かに貴様はマスターではない。であれば、これが賞品を巡る競技である以上、審判を殺すのは得策ではないか」

ドロッセル:その通り! なので! 私を傷つけるのは、やめてください!(一同爆笑)

GM/???:「せ、聖職者にしては正直者よ。その無様な命乞いに免じてその命一時永らえることを許そう……」と、背後に集まっていた気配が次々と消えていきます。

ドロッセル:おお。なんとか助かりましたか。

GM:ですね(笑)。最期に背後からぱからっぱからっと、馬の蹄の音が遠ざかっていきます。

ジョン:ライダーか……。

ドロッセル:ふぅー……。また一つ生き残りましたね。

人見:いつもこんなことして生き残ってたん? 奇跡かな?

PL3:命乞いのレパートリーはきっと千を越える……。

ドロッセル:……聖杯戦争は既に、始まっていたのですね。


―オープニング07:看破/崩壊―


GM:では人見君。あなたの主観ではあれから数日後。

人見:怖いわぁ、メリィさんホンマ怖いわぁ。

GM:メリィさんの姿も見ることなく、代り映えのない平穏な毎日です。

人見:やった! 平和を謳歌しているぞ!

GM:とまぁ夕方、いつものように下校していると、メリィさんが現れますよ!

人見:ヒッ。エンカウント!

ドロッセル:あれほど草むらの上を歩かないでと言ったでしょう!(笑)

PL3:メリィさん が あらわれた !

人見:ああー。電気ポケモンの。

GM/メリィ:「…………ここ数日あなたの様子を観察させていただきました」前回とは打って変わって冷静な声音で。

人見:な、なんやあんた。警察呼ぶぞ!

GM/メリィ:「……警察? それは、あなたが呼ぶのですか。それとも、新しく作るのですか?」

ジョン:な、何言ってんだコイツ。

人見:マジで何言ってるのかわからん。

GM/メリィ:「私からしてみれば、あなたの方が何を言ってるのかわかりませんよ? ……単刀直入に聞きましょう。あなたは聖杯をどこに隠したのですか?」

人見:せい……はい……?

ジョン:アカン。

GM:あなたの様子をつぶさに観察します。それに対して友人たちも「わけのわからないことを言わないでください!」と反論しますが、メリィさんは意に介した様子もありません。

人見:な、なんや人違いしてるんと違いますか……。

GM/メリィ:「人違いですって? …………ここには、あなた一人しかいないのに?

人見:(絶句)…………え、いや、だって、おるやん。おるやん……。

GM:ええ。あなたの主観では。

GM/メリィ:「私の方から見えるあなたの行動をお話しいたしましょうか。朝洞窟で起き、同じ時間に林を歩き、拓けた場所に一日中座って呆けている……あなたはそれを“学校に通っている”と認識していたのでしょうが、私から見れば奇妙な徘徊そのものでした」

人見:…………。

GM/メリィ:「もしかして、それがあなたの願いだったのかしら。変わらない日常を過ごすというものが」

人見:…………え。あんた頭おかしいんとちゃう? な、なあ?

GM/メリィ:「はぁ……。やはり確たる証拠を突きつけなければわかっていただけないのかしら」と、言いながら古い日本の新聞を取り出します。「取り寄せるのは少し苦労したのですけれど、舞台となるこの島を調べる上では必要なことでした」


 何を言っているのかわからない。
 わからないのに、目の前の女が取り出した新聞から目を離すことができなかった。
 それは日本語で書かれている。
 それは半年前の日付だ。
 そこには自分たちの学校の名前が書かれていた。
 そして、そこにはある高校の修学旅行生たちを乗せた船が、沈没したと――
 ナニヲイッテイルノカワカラナイ。


人見:OH……。

GM:そこにかかれていることを認識した瞬間、傍らにいたはずの友人たちの姿が見えなくなってしまいます。そして、あなたの失われた記憶が蘇ってきます。


 嵐に直面しただなんてアナウンスもなかった。航海は順調で、その船の中は目的地に着くまでの期待感で満たされた幸福な時間だったはずだ。
 なのに、それは突然起こった。
 突然船は大きく揺れ出し、みんなが悲鳴を上げていた。
 船内放送は沈黙し、何が起こったのかなんて知る由もなかった。
 混乱は伝播して、ただどこにもない逃げ場を探して人ごみの中に揉まれて行った。
 誰かが叫んだ「船が沈むぞ」という言葉は間を持たずして事実となった。
 水面は遥か遠く、無力な体は成す術無く底へ底へと引っ張られて行く。
 視界の端々に浮かぶ大勢の人と同じく、このまま死ぬのだと悟ったそのとき――


GM:あなたは見ました。視界を満たす黄金の輝きを。そしてそれに手を伸ばし、何かを言った。

人見:…………。

GM:そこで記憶は途切れ、半年間に及ぶ疑似学校生活へと続きます。

ジョン:いや、疑似学校生活って……。

PL3:どうくつぐらし!

人見:お、思いだしたぞ、俺は……。あの食べていたのはお好み焼きなんかじゃなく、

PL3:自分で採った芋むs……。

人見:(遮り)そんなものは食べてないでーす!! っていうかお好み焼きも食べてないでーす! トーストでした! はい! うーわアレ芋虫だったのかー!(混乱)

ジョン:おろろろろろろろろろr――!

セイバー:まぁ、吐くわな。

GM/メリィ:「そのときあなたが願った相手がこの地にあるであろう聖杯。聖杯はあなたの記憶をくみ取り、日常の暮らしを脳内で再現して見せた。ならば、あなたは聖杯の在り処を知っているはず……」

人見:わ、わからない……なにもわからない……。確かに光る何かに手を伸ばしたけれど、それが何なのかなんて……。そもそもお前はいったい誰やねん!

GM/メリィ:「私はメリエルム・エーデルリッゾ。ただ一つの願いのために、聖杯を求める――魔術師よ」

人見:ただ、一つの、願い……?

GM/メリィ:「……あなたが本当に何も知らないのだとしても。あなたが聖杯と繋がっていることは明白。こうなれば、解剖でもして……」

人見:ヒッッ。

GM/メリィ:「――来なさい。ランサー」


―オープニング08:剣戟/狂刃―


GM:と、いうところでシーンが変わります。

人見:お、おお、おおう……! まだ心臓残ってるー! 刺されてないでー!

GM:セイバー陣営。島の探索を続けていると、突如近くでサーヴァントの気配を感じます。

セイバー:マスターに任せる。

ジョン:……情報収集に丁度いいチャンスだな。行くぞセイバー!

GM:と、サーヴァントの気配があったところまで近づくと、そこには男子高校生一人と、魔術師メリエルム、サーヴァント一騎がいます。「――あなたが聖杯と繋がっていることは明白。こうなれば、解剖でもして……」という話が聞こえますね。

人見:や、やめろ!

ジョン:あー……これはあれやな。

セイバー:関西弁うつってるぞマスター。

GM:聖杯を奪われたらその時点で負けてしまうかもしれません。

ジョン:それに、こんな無人島にあんなガキがいるってのも妙だしな……。ランサーはどんな姿をしている?

GM:はい。では描写。


 夕闇に紛れ、木陰に姿を潜ませながら、ジョンは魔術師メリエルムが連れているサーヴァントを注視する。
 与えられしクラスはランサー。その手に携えしは黄金の槍。
 ゆったりとした衣装に包まれた身体は、余分な肉など一切ない均整の取れた戦士のもの。 長い金髪を纏めるように紅白の頭帯を締め、動きを阻害しない要所要所には槍の輝きに勝るとも劣らない黄金の防具に、彼自身が討ち取った獲物のものだろうか、上質な毛皮飾りをあしらっている。
 だが、それらすべては些末事だ。かの英霊が纏う気配――相対すればその場で膝を屈し、赦しを請いたくなるほどの圧。それに比べれば、纏う黄金の輝きのなんと色褪せて見えることか。
 ――神気。
 そうとしか形容しえないほどの圧力は、そのものをしてかの英霊の正体足らしめている。これほどの高い神性を有する存在など、神話の時代のものに他あるまいと。


ジョン:ローマか……ギリシャの方か? 見た目だけじゃわからん。

GM:マスターはサーヴァントのことは見ただけである程度分かりますが、彼の神性は「A+」です。紛れもなく強力なサーヴァントでしょう。

セイバー:メチャクチャ強いじゃないか。

ジョン:正直介入するだけ損な気もするが……。

人見:うぉおおおおお! 俺は実は一発刺されただけで死ぬぞぉー!

ジョン:だよなぁー!(笑) 行かないわけにはいかないよな。セイバー。あれ、いけるか?

セイバー:そんな、気軽に!(笑)

ジョン:セイバーのこと知りたいのに、なんも教えてくれないからなー。戦力差もわからん。

セイバー:……じゃあ仕方ないな。マスターにお見せするとしようか。私の能力を。クラス相性有利でいける。

PL3:FGOじゃあないんだよ!(笑)

セイバー:ないのか! 俺あれしか知らないんだよ!(笑)


 先述したゲーム、FGOではサーヴァントのクラスごとに相性が存在しており、セイバーはランサーに強く、ランサーはアーチャーに、アーチャーはセイバーに有利と、大体が三すくみの構図になるように設定されています。


GM/ランサー:では、そうやってわちゃわちゃやっているとこちらも気づいてきます。「マスター。こちらを伺っているものがいます」

ジョン:じゃあ、セイバーを前に出して姿を現す。霊体化は解いてもらう。

ドロッセル:その「霊体化は解いてもらう」というのは令呪ですか?

GM:やめろ! ことある毎に消費させようとするな!(笑)

PL3:黙って獅子唐食ってなさいよあなたは(笑)。

GM/メリィ:「あら。盗み聞きなどと、随分はしたない真似をなさるのですね。どちらの魔術師かしら。――いえ、その出で立ちから察するに魔術使いの方なのかしら?」

ジョン:後者で合ってるぜ、メリエルム・エーデルリッゾ。

GM/メリィ:「野蛮な魔術使いといえど、私の名前をご存知なようで感心だわ」

ジョン:なんであんたみたいないいとこのお嬢さんが、こんな怪しげな儀式に参加してるんだろうな? エーデルリッゾの当主ともあろうものがこんなところにいるのはおかしいよなぁ?

PL3:(割り込んで)こんなところで油売ってないで、ちょっくら俺とデートにでもいかねぇかぁ?

GM/メリィ:「残念ですけれど、あなたは私の好みではありませんわ。――ランサー。黙らせなさい」

ジョン:おおっと、話す余地なしか。セイバー、頼む!

セイバー:承知!


 応えてセイバーは剣を構え、ランサーもまたそれに応じる。
 そこで初めてジョンは気が付いた。セイバーが持つ剣の正体。それが金属で打たれたものではなく、石で模られたものだということに。
 疑問に思う余地もなく――嵐が、吹き荒れた。
 石と黄金。剣と槍。地と天。互いに共通項などまったくない両者の激突。
 一合打ち合うだけで、地面が爆ぜた。叩きつけられた剣の圧で岩が砕けた。振り抜いた槍の颶風で木々がなぎ倒された。
 人間大の存在からは決して発揮されるはずのない破壊力。切れるはずのない石剣で空気は寸断され、硬いはずのない黄金はそれを難なく受け止める。
 これが、ジョンが初めて目の当たりにしたサーヴァント同士の戦闘。幻想の内にいたはずの英霊同士のぶつかり合いの凄まじさに息を飲む。
 そしてそれは、この場に集ったメリエルムにも、人見好一にも等しく同じ衝撃を与えていただろう。
 ――この闘争こそが、聖杯戦争なのだと。


人見:とんでもないことに巻き込まれた……。

GM:数合打ち合ったところでセイバーは気が付きます。戦闘技術……技量という意味でならランサーはあなたよりも少し劣っています。ステータスはこちらの方が上ですが。

セイバー:なるほど。だから互角だと。

GM/ランサー:「……ほう。我が神性の発露たる槍と打ち合って折れぬ剣とは。よほどの神を由来とするものらしい」

ジョン:神性纏った剣だと?

GM/ランサー:「ならば、こちらも少し力を出しましょう」というと、槍が手元から消えます。

セイバー:なに!

GM:すると、槍と同じくらいの太さの光条……端的に言ってビームが五本ほど出現してあなたを襲います。

セイバー:どうしようもねぇ!(笑)

ドロッセル:ビームを出して対抗するのです!

セイバー:あ、そうか、ビームは出せないが雷は出せるんだったこの剣。

ジョン:ってことは、「魔力放出(雷)」か?

GM:はい。

セイバー:じゃあ、剣から出した雷一本で、そのビームを撃ち落とす。

GM/ランサー:「ふむ……。私とは違い、戦士として名を馳せたものらしい。よく対応してみせる」

GM/メリィ:「どうかしら、ランサー。勝てそう?」

GM/ランサー:「負けはしないでしょうが、多少面倒な相手ではありますね」

GM/メリィ:「そう。ではあなたは一騎打ちにはこだわるタイプかしら?」

GM/ランサー:「いいえ。――彼女を出してください」

セイバー:何?

GM/メリィ:その言葉ににまっと笑い、「じゃあ、あなたも行きなさい。アーチャー!」と言うと、もう一騎のサーヴァントが出現します。

ジョン:さすがにそれには驚くぞ! 汚ぇ!

セイバー:マスター! 二人がかりは流石に分が悪いぞ!


 マスターの呼びかけに応え、アーチャーと呼ばれたサーヴァントは姿を現した。その身から感じる神気はランサーのそれと酷似し、 このサーヴァントもまた、高い神性を有しているのだと知らしめている。
 しかし、とりわけ目を引くのが、炭で独特な化粧を施したその顔だ。それは発する神気と同様彼と酷似――いや、ランサーの顔とまったく同じものだった。


ジョン:最悪だぜ……。アーチャーじゃ撤退もままならねぇじゃねぇか。どんな裏技使ったっていうんだお嬢ちゃん。

GM/メリィ:「あら。そんな秘密をよそのものに話すと思いまして?」

ジョン:くそー! こんな仕事受けるんじゃなかったぜ!

GM/アーチャー:「兄さ……」

GM/ランサー:「控えろ、アーチャー。ここでは私とお前は等価だ」

GM/アーチャー:「失礼しました。……ランサー。これより私も援護に入ります」

ジョン:兄……? 兄妹ってことか。

GM:セイバーも今度はこの二人を相手にすることになり、どんどんと押されていきます。


 自らの失言を詫びるかのごとく、祈るようにアーチャーは右手の獲物を振るう。
 それはランサーの装備同様黄金で作られた、指揮棒を思わせる道具だった。ただ眼前の敵目掛けて振り下ろす。ただそれだけで、破壊の嵐が巻き起こった。


GM:というわけで指揮棒のようなものを振るうと、風の弾丸が吹き荒れて、周囲をずたずたにします。

セイバー:強!

ジョン:アーチャーは弓使わないなほんとに! しかし飛び道具と接近戦で来られたらそりゃ勝てんわ。

GM:加えてこの二人、今までもこのように戦っていたのか、二人で戦うことに非常に慣れていると感じます。

ジョン:これはまずい。令呪での撤退も考えるか……?

セイバー:マスター! あんたは二体目を出せないのか!

ジョン:出せるわけねーだろ! ルール聞いてないのか!

セイバー:聞いたから驚いてるんだこっちは!

GM:と、そちらの二人がランサー達に抑えられている中、メリィさんは再び人見君の方に向き直ります。

人見:きょ、距離を取りたいなぁ!

GM/メリィ:「さぁ、人見さん。こちらに参りましょう。大丈夫です。痛くはしません。苦しくもありません。それで、あなたをこの半年の地獄から解放して差し上げましょう」

人見:…………!

GM:明らかに彼女は殺すつもりで声をかけています。体格では勝っているのに、殴りかかって勝てる光景も思い浮かばない。

人見:す、少しずつ後ずさって……ダッシュ!

GM:しかし まわりこまれて しまった。

人見:うわー! もうだめだー!


「淑女と思って侮られてしまったかしら?」
 息も切らさずに言い放つ彼女に、人見は何も言い返せなくなる。これが本物の魔術師というものかと、眼前に迫った死の気配に足がすくむ。
「でも、そうね。あんまり抵抗されても困ってしまいますもの」
 ふと、人見の鼻腔を甘い香りがくすぐった。すると恐怖にこわばっていた四肢から急に力が抜け、意識がぼやける。 このまま目をつぶってしまえば絶対に助からないとわかっていながら、なすすべなく脳は主導権を手放そうとしていた。
「ゆっくりお眠りなさい。そうすれば楽になれます」
 そう、彼女の言う通り、このまま眠ればきっと楽になれるのだろう。ぼやけた頭で受け取るそれはとても魅力的な提案に思えた。
 だから――


GM/メリィ:「――――!」

人見:……ボールペンで、手を刺して、眠気を飛ばす。

GM:メリィ:「……なぜそこまで抗おうとするのですか。痛くもしない。苦しくもしない。この島の孤独から解放されるというのに」

人見:誰が、こんなわけのわからない場所で、お前のようなわけのわからない奴の言うことを聞くんだ!

GM:では、その叫びに呼応するかのように、あなたの手から砂浜に滴った血液が輝きを放ちだします!

人見:おお!?

PL3:?(自分を指さす)

GM:(頷く)

PL3:へいへーい!?

GM:人見君の思いに応えるかのように起きたその現象! その光が収まったときそこには! 一騎のサーヴァントの姿が現れます!

ジョン:――この、土壇場で召喚だと!?


 砂煙を巻き上げて、それは顕現した。鮮血の如き赤い和装に身を包み、一振りの刀とともにある少女。 風に揺れる桜色の髪の下から覗くけだるげな瞳は、まるで戦場に似つかわしくなく、辺りを見渡していた。
 やがて、その視線は一人の少年を見定め――


PL3:初めまして。あなたが私のマスターさんですか?

ジョン:……刀? セイバーは既にいる……。アサシンか、バーサーカーか。

人見:お、お前もあのわけのわからない槍使いとかの仲間か?

PL3:うーん。そう聞かれると難しいのですが……。

GM:アーチャーとランサーも変化した状況に油断なく構えます。

PL3:(周囲を見渡して)……どうも出遅れてしまったようですね。でも安心してください。私は――

GM/アーチャー:「その方、何者か!」

PL3:それには答えません。

GM/アーチャー:「くっ……。我らアハウの問いを無下にするか!」

セイバー:アハウ……?

GM/ランサー:「アーチャー!」と、その発言をとがめます。

GM/アーチャー:「あ……申し訳ありません!」

PL3:全自動真名バラし機かテメー!(笑)

ジョン:あのアーチャーうっかりだぞ! あっちを攻めろ!(笑)

PL3:帰ったら検索しましょう「アハウ」。

GM:ググっても出ないことは確認済みだ!

PL3:安心してくださいマスターさん。私はあなたの味方ですから。と、安心させるようにエレガントに微笑みます。

人見:ま、す、たー……って、俺の、ことか。

PL3:はい。だから、とりあえず命令してください。――私は誰を斬ればいいですか?

ジョン:コイツもヤバいなー……。

人見:目の前の、目の前のこいつらを、何とかしてくれ!

PL3:承りました。


 その動きは緩慢だ。ゆったりと、まるで朝の散歩の前に伸びでもするかのように呑気に満ちている。
 それは突如出現した英霊とはいかなるものかと身構えたアーチャーが、警戒とは真逆の意味で驚愕するほどに。
 ――だから、何が起きたのかまったく分からなかった。
 桜色の英霊が捨てた鞘が地面に落ちた音で気が付いたときには――すでにそれが目の前にいたのだから。
「――――なっ!?」
 とっさの防御が、いかほどの役に立っただろう。手の中の棒を振るったときには、もはや相手はこちらの腕を斬りつけ終わっていたのだから。


GM/アーチャー:「き、貴様ぁっ!」 傷ついた腕で指揮棒を振るい、あなたを攻撃します。

PL3:では、その風の一撃と鍔迫り合う感じですね。そして、風が収まった後、首を回したり、手をぐーぱーぐーぱーしたりしてます。

GM/アーチャー:「何のつもりだ……」

PL3:ああ…………。いいですね。この感じ……。ぴょんぴょん飛び跳ねてリズムを取ったりします。

ジョン:な、なんだコイツ。

PL3:じゃあ、もう一回行きますよ?


 ――同時。
 言葉と結果はまさに同着。放たれた言葉が耳に届くよりも早く、英霊の刀はアーチャーの眼前に辿り着いていた。
 しかし――


GM:それにはさすがに敏捷に優れたランサーが槍で受け止めます。

PL3:では今度はこっちがいったん下がります。あら、無粋ですね。ですがいいですよ。二人同時というのも。

GM:その物言いにはこめかみがピクリと反応しますが、アーチャーが砂を巻き上げて視界を覆い、その隙に二人はあなた方から距離を取ります。

PL3:ふむ。

GM/メリィ:「新たなサーヴァント……その霊基は、バーサーカー!? あんな動きで?」

ジョン:って言うか正気っぽいぞ。どうなってるんだ?

GM:と、ここでちょっと皆さん1dを振ってみてください。

ドロッセル:私も?

GM:ごめん。あなたはまだです。

ジョン:(ころ)10だ。

GM:では、ジョンの観察眼はそれをとらえました。今までの攻防の拍子にメリエルムの手袋が破れてしまったのですが、そこにあった令呪はすでに一画しか残っていないことに。

ジョン:ほーう……?

GM/ランサー:「状況が変わってしまいましたねマスター。いかがいたしますか? あのサーヴァントは実に強い。技術で言えばこの場の誰よりも優れているでしょう」


「――ですが。あなたが望むのならば、我が宝具を以てこの場ですべてを終わらせることが可能です」
 事もなげに言い放ったランサーの言葉に、戦場に緊張が走る。
 伊達や酔狂などではない。あまりに自然体の発言であったが故に、否応なく知らしめられる。
 この英霊は確かに、今この瞬間にでもこの場の全員を殺す手段を所有していると。
 「……いいえ。ここまでにしておきましょう。今彼を――人見好一さんを死なせるわけにはいかないわ」
 だが、彼のマスターはそれを良しとはしなかった。あくまで冷静に、眼前の勝利よりも、聖杯の情報を優先させる。


GM/メリィ:「それでは、此度は失礼させていただきます。人見さん、セイバーのマスターさん」

ジョン:俺はジョン・マクミランだ。覚えとけ。

GM/メリィ:「そう、あなたが……覚えておきましょう」そう言い残し、二人は撤退を――

PL3(以下・バーサーカー):逃がすわけ、ないじゃないですカァ?

GM/メリィ:「――――なっ」

GM/アーチャー:向かってきたバーサーカーに対して、アーチャーが武器を捨てて、その攻撃を無防備に受けます。

バーサーカー:……へぇ?

GM/アーチャー:「……これで、気が済んだか、狂犬め!」と、言い残し、血溜まりを残してアーチャーは姿を消します。その間に残りの二人も消えていますね。

バーサーカー:――――チッ。満足? するわけないじゃないですか。戦いの場じゃなくなったのでゆったりとした動きで鞘を拾いに行きます。


 ちきりと音を立てて、血に濡れた刀が鞘に仕舞われる。返り血を拭いもせずに刀を仕舞う様子に、この場の誰もが目の前の女剣士がまともではないのだと悟る。
「お怪我はありませんか? マスターさん」
 ――狂っている。
 先ほどの戦いなどまるでなかったかのごとく微笑むその表情は、どうしようもなく狂戦士に相応しいものだった。


人見:倒したのか……あいつを。

バーサーカー:倒したのかと聞かれると少し疑問が残りますが……。

人見:ともかく追い払うことはできたんやろ? ありがとうな。


 かくして。最後のサーヴァント、バーサーカーの召喚により、この舞台の役者は揃った。
 残された攻防の爪痕は痛ましくその様を晒し告げる。小手調べの初戦は終わり――ここからが本来の聖杯戦争。魔術師たちと英霊が覇を競い合う、真の殺し合いの開幕なのだと。


―ミドル01:森林/閉鎖―


GM:では、一旦シーンを区切ってまたこの四人です。

ドロッセル:あの、先生。私は。

GM:…………ちょっと待ってね☆

一同:(爆笑)

バーサーカー:無情。

GM:あ、いや。先にこっちやっちゃいましょう。うん。ドロッセルのシーンです。ごめんなさい。

ドロッセル:わーい! (ころ)10で辛い!

人見:獅子唐チェックはもういいって(笑)。

バーサーカー:獅子唐チェックで10が出たら生命抵抗判定を振っていただくのはどうです?

GM:ゲームが違う。では推定ライダーと別れた後、あなたは本来の使命として聖杯の捜索に乗り出しています。

ドロッセル:はい。

GM:聖杯戦争に必要な魔術陣「大聖杯」はその土地の地脈に沿って設置しなくてはいけないものですので、その流れをさかのぼっていけば見つけることが可能です。

ドロッセル:なるほど。

GM:そうしてしばらく歩いた頃、森の中。「動くな!」と、突如鋭い少年の声。

ドロッセル:またこのパターンですか。

GM/少年:「あと一歩先に進んでたら首が落ちてるところだぜ」 良く足元を見てみると、細い線が。

ドロッセル:う……。あ、あなたは――

GM/少年:「あんた何モンだ?」

ドロッセル:先に聞かれた!(笑)

GM/少年:「俺か? 誰かと聞かれりゃ、こんな場所だ。聖杯戦争に参加してるサーヴァントに決まってるだろうがよ」

ドロッセル:ですよねー……。見た目からしてクラスとかわかりますか?

GM:まだ姿は見せていないですね。森の中から声だけが響いてきています。

ドロッセル:えー……ロビンフッド的にはアーチャーなんですが……。アーチャー既に出てるっぽいですからね!(笑)

ジョン:今出てるのは、セイバー、バーサーカー……。

GM:ランサー、アーチャーが出てますね。

バーサーカー:最初に遭ったのが恐らくライダーでしょうから、彼は十中八九アサシンでしょうね。

ジョン:キャスターの可能性は?

セイバー:アヴェンジャーとか出ないのか?

GM:改めて宣言しておきますと、今回は基本七クラスだけです。エクストラクラスなし。

セイバー:そうか。

ドロッセル:えーと……。何と答えるか。……私は聖堂教会から派遣された監督役です。

GM/少年:「監督役ぅ? こんなところにか?」

ドロッセル:そうです。なので私はあなたと敵対するつもりはありません。……味方をする気もあんまりないですけど。

人見:ほう。柔らかい言い方するんやね。

ドロッセル:一歩間違えば、即死ですからね!(笑)

人見:地雷原でタップダンス躍るゲーム……。

GM/少年:「……そうか。武器を向けて悪かったな。そのまま後ろに下がれば安全に帰れるぜ。悪いがここから先を通すわけにはいかねぇんでな」

ドロッセル:ううー……ん。私もこの先に通りたいのですが……。

GM/少年:「留守を任されてるもんでね。……監督役だってんなら、俺達なんかよりも面白いもんが浜辺の方で見られるぜ?」と、セイバーたちが戦ったあたりの場所を教えてくれます。

ドロッセル:ほぉー……。ここから手繰るのは無理ということは、一旦回り道ついでにそちらを覗いてみますか。情報ありがとうございますって言って帰ります。

GM/少年:「おう。いいってことよ。そうだ、こいつを持ってけ」と、どこからか燻製肉がとんできます。

ドロッセル:燻製肉?

ジョン:この島の動物で作ったのか?

ドロッセル:すっごい怪しいんですけど(笑)。とりあえずありがたくいただきますね。と言ってもこちらからあげられるものが特には……あ、獅子唐ならありますけど、いります?

GM/少年:「おお。そいつは初めて見るな。じゃあ貰おう」と言って姿を……。

一同:(爆笑)

バーサーカー:あっれー!? 出しちゃうんですか!(笑)

GM:はい。毛皮を纏った褐色の肌の少年です。動物の骨とか牙とかのブレスレットやら、鳥の羽根飾りやらを沢山身に着けてますね。

バーサーカー:毛皮ブームですね。流行ってるんですか?

GM:そして目立つ特徴として、弓を持っています。

ドロッセル:え。弓を持っている?

ジョン:まぁ、アーチャーが既に出てるなんてあんたは知らないしな。

バーサーカー:彼女がマスターじゃないのをいいことに変なものを次々当ててきますねこのGM。PC5がいいように伏線を撒くために使われてます(笑)。

GM:あなたはマスターじゃないので、サーヴァントのステータスとかわかりませんしねぇ。

ドロッセル:そうですね……じゃあ、彼に言われたところに行きますか。てくてく……はしないんでした。すぃーっと。


―ミドル02:合流/思惑―

 ジョン・マクミランから告げられた真実は、人見好一へ少なからず衝撃を与えた。
 魔術、サーヴァント、聖杯。己とは縁もゆかりもなかったそれらが今まさに自分たちを巻き込んで蠢いていること。そして当の自分こそが、この騒動の中心にいるであろうこと。
 その事実は、人見はもはや逃げることは許されないのだと否応なく悟らせた。


人見:言っていることはわかるが、何を言ってるのか理解できない。

GM:人見君の腕には他の人と同じように三画の令呪が刻まれています。

人見:……こいつでそこの着物女が従うのはわかったけど、こんなところにタトゥーを入れた覚えはないんやけど。信じるしかないけど、何言ってるのかホンマわからん。

ジョン:こいつは一旦協会に連絡を取って調べた方がよさそうだな。セイバーの召喚に成功したことも伝えなきゃならんし。

GM:では、連絡を取ると、人見君が巻き込まれたという海難事故は確かに半年前この島の近海で起きたことがわかります。

ジョン:セイバーの正体に関して、そっちは何か掴んでいないか?

GM:そうですねぇ。魔術協会でも鼻つまみ者の魔術師がそちらの聖杯戦争に参加していることがあれからの調べでわかっています。おそらくそいつがセイバーについての資料を焼き払ったのだろうと。

ジョン:ん? じゃあもうメリエルムの奴魔術協会に戻れないんじゃないのか? 不退転の覚悟か?

GM:いえ、そっちはメリエルムじゃないですね。エニー・イミクサという名前の女性魔術師です。

ジョン:そいつが参加者か。今わかってるのは女が二人か……。

セイバー:……マスター。ここでバーサーカーのマスターを殺っておくという手もあるが。

ジョン:……倒せるか?(バーサーカーを見ながら)

バーサーカー:バーサーカーはなぜかうきうきした顔でそちらを見ている。

ジョン:これは戦闘狂ですわ……。

GM:では、そろそろいいですよ。

ドロッセル:あ、私出てもいいんですね。話は聞かせていただきました!

ジョン:突然めっちゃ怪しいのが来たな!

ドロッセル:で、ここから私どうすればいいですか? ……って、そうか彼が聖杯に繋がってるんでしたっけ。

GM:はい。なので、穏当なところに聖杯渡して始末をつけたりしたい側としては近づいておきたい人です。

ドロッセル:わかりました。私聖堂教会のドロッセルと申します。以後お見知りおきを。と名刺を。

ジョン:名刺あんのか!

バーサーカー:なんだか獅子唐臭い名刺ですねぇ。

ドロッセル:獅子唐個包装で持ってるので大丈夫です! あ、お近づきの印にこれを。

人見:わーい獅子唐だぁー! やっとまともなものが食べられるぞー! (ころ)辛っら!

バーサーカー:マスターさん、なんだかいろいろな意味でかわいそうなことに……。(ころ)あ、辛くない。

ジョン:聖堂教会の監督役か。俺はセイバーのマスター、ジョン・マクミランだ。

ドロッセル:ジョン・マクミラン……聞いたことがありますね。

ジョン:……しまった。上の名前だけにしておけばよかった。

ドロッセル:とはいえ、監督役という立ち位置からすれば、あまり協力してはいけない立場ではありますが、審判権限でお手伝いさせていただきます。

ジョン:審判なんだから中立でいろよそこは!(笑)

GM:今まで出会ったのがやばい奴でしたからね。私としては主人公陣営に協力していただきたいのです。

ドロッセル:今のところあなた方に協力するのが一番丸く収まる気がしますので。聖堂教会の方針についてはあなたもよくご存知でしょう?

ジョン:……まぁ、そういう見方をしてもおかしくはねぇか。

バーサーカー:……ということらしいですが、どうしますかマスターさん? 斬りますか?

人見:それをいちいち確認するのか。嫌やなぁ……。

バーサーカー:OK出たらすぐに斬りに行きたいですから!

人見:この状況でむやみに敵を作るのはよくないやろ……。

バーサーカー:マスターさんがそうおっしゃるのなら。にっこり笑って刀を仕舞います。

人見:ホワイ、怖い! 怖いよぉ! 向こうの陣営の方が見た目はあれだけど性格穏当だよぉ! いいなぁ!

ジョン:最終的に勝者は一人になるとはいえ、協力するのも手か……? 一人で二騎もサーヴァントを操ってやがったし。

ドロッセル:一人で二騎ですって!?

ジョン:おう、そうだ。どうなってるんだよ。ランサーとアーチャーを一人で従えてたぞ。

ドロッセル:それは……審判役として由々しき事態ですね!

ジョン:罰則とかは与えられないのか?

ドロッセル:うーむ。そうしたいのはやまやまなのですが、私としてもサーヴァント二騎の相手は辛いものがあります。なのであなた方に協力することで彼女への罰と致しましょう。

ジョン:なるほどな。じゃあ――

GM/???:と、そこで「話は纏まったか……?」と、声が響いてきます。

ジョン:ヒェッ。なんだ?

GM:次の瞬間、あなたたちは何者かに囲まれていると気が付きます。

ドロッセル:……これは、ライダーさんですか?


 それは、打ち捨てられた路傍の屍であり、怨讐渦巻く亡霊であり、腸をこぼしながらも肉を求める亡者であった。
 先ほどまで影も形もなかった魑魅魍魎共は、瞬きの間に周囲を取り囲んでいたのだ。
 そして、それらを従えしは白骨の馬を駆る髑髏の騎兵であった。


ジョン:ライダー……!? っぽいけど、明らかに人間じゃないぞ!

バーサーカー:明らかに話が纏まるまで待っていてくれた風の人! さてはいい人ですね!(笑)

GM/ライダー:「陣営が一所に纏まったというのであれば都合がいい。このまま我が軍勢を以て圧殺するまでのことよ」

ジョン:っていうか、連戦かよ……!

GM:ここで、Eロイス「堕落の誘い」を使用して、衝動判定――というわけでクライマックスだ!


―クライマックス:縛鎖/両断―


GM:衝動判定の難易度はいつも通り9です。

バーサーカー:「堕落の誘い」って衝動判定失敗したら、浸食率100になる奴でしたっけ。……ならば全員判定放棄した方がいいのでは。

人見:今まで振ってた浸食率は何だったんだ……。

GM:シナリオ短かったですからね。とりあえずライダーの詳細な描写。髑髏の鎧をまとった痩せ馬を駆る騎兵です。彼自身も白骨をモチーフにした鎧を身に纏っておりますが、顎からは腰まで届く長く白いひげが伸びています。そして何より目を引くのが鎧のところどころに開けられた穴から延びる、十二本の鎖です。武器は腰の曲刀。

バーサーカー:ふむふむ(メモる)。

GM/ライダー:「さぁ……敗北者どもよ。歴史の闇に撃ち捨てられた亡者どもよ。英雄どもの輝きはさぞ眩しかろう。その無念を以て奴らの光を穢すがいい!! ――『屍晒す敗北の軍勢ムーサル・ヴ・ナシャレ』!!」


○ラウンド1


GM:ではセットアップ!

人見:君のことはバーサーカーと呼べばええんか?

バーサーカー:ええ。バーサーカーとお呼び下さい。そちらにご一緒しても?

ジョン:おお。じゃあ《ファンアウト》で他の奴を移動させる。やっちまえセイバー!

GM:なお、死霊の軍勢もサーヴァント属性を持っているのでサーヴァント以外からの攻撃はすべて半減です。彼の宝具なので。

セイバー:へー(ドロッセルを見る)。

ドロッセル:が、頑張ります。

GM:あ、ドロッセルさん。

ドロッセル:はい?

GM:「戦ってもいいですよ」

ドロッセル:え? …………ああ。そういうことですか。分かりました。

バーサーカー:ん? なんか変な……。あ、セットアップは《螺旋の悪魔》です。


行動値
ドロッセル・カイン:9
ジョン・マクミラン:8
バーサーカー:8
セイバー:7
ライダー:7
人見好一:6
死霊の軍勢×5:5


バーサーカー:そろそろセッション時間が厳しいので、時短のために、ジョンさんのDロイス頂いても?

人見:何を言ってるんだコイツは。

ジョン:あー。じゃあしょうがないか……。

バーサーカー:というわけで「Dロイス:触媒」の効果で先に行動します。

人見:オートアクションで支援ができるぞ。どういう理屈かは全く知らんぞ。

GM:では、人見君が「バーサーカーの助けになりたい」と思った瞬間、誰かに背中を押されたような感覚を覚えます。すると次の瞬間から、魔術のような現象が発生し、支援能力が使えるようになりますね。

ジョン:おお。ダブルクロスでいうところの、オーヴァード覚醒的な奴か。……聖杯の力?

GM:さぁー?

バーサーカー:浸食率100越えてるので、「起源種」の効果が凄いことになってるはずです。

人見:《援護の風》でダイスが7つ増えるな。で、あと《ウィンドブレス》で達成値が+15される。

GM/ライダー:「ほう? 貴様が来るか、バーサーカー」

バーサーカー:ええ。なんだかうちのマスターさんもやる気になってくださったようですし!

GM/ライダー:「その面構えならば切り取って愛でるもよかろう。ならば我が鎖の戒めを受け、果てるがいい!」

バーサーカー:やった! エロ同人量産できるタイプのサーヴァントですね!

GM:…………まぁ、間違ってないな原典からして。

バーサーカー:(ころころころころ)……《力の法則》も貰っていいですか?

人見:お、おう。

バーサーカー:ダメージは、124点の範囲攻撃です。

GM:ば、馬鹿なぁあああああ!? 死霊軍は全滅しました。

人見:こ、これがバーサーカー……!

ドロッセル:あれ? 私の仕事がもうない!(笑)


 狂戦士の行動は迅速そのものだった。
 己が周りを取り囲む死霊ども、支援の準備をするマスターたち、それら一切を無視してただ己が敵――ライダーへと目掛けて跳ぶ。
 だが、髑髏の仮面の下で見せたライダーのわずかな笑み。それがバーサーカーの思考を瞬時に切り替えさせた。
 ――――!
 千里ならぬライダーの眼には、まさに消えたように映っただろう。だが実際には、バーサーカーは彼らの下へと潜り込み、馬の足を掴んで方向転換し、再び死霊どもの内へと身を躍らせたのだ。
 ――縮地。
 極まれば次元跳躍すら可能とする歩法術を持つこの英霊を止めることなど、この場の誰にもできようはずもなく。 迫りくる彼女を狙ったはずのライダーの鎖群は虚しく空を切っていた。
 そこからの戦いぶりはまさに狂戦士の面目躍如。首を落とし、頭蓋を砕き、四肢を斬り飛ばす。瞬きの間に軍勢を屠るその姿はまさに修羅のそれ。
 戦場に軋む歯の音は、果たして戦の歓喜に震えるバーサーカーのものか、怒りに歪むライダーのものか。


バーサーカー:最後にライダーにもダメージ行くので、死霊の一匹を踏み台にして肩口をバッサリって感じで。

GM/ライダー:「やりおる……。やりおるわ。死霊どもでは足止めにもならんとはなぁ」

ドロッセル:《コンセントレイト》《小さな塵》《マスヴィジョン》あと他。

GM/ライダー:「そちらについたか聖職者……」

ドロッセル:ええまぁ、あなたは今のところ脅威にしか見えませんので、この場は排除させていただきます!

GM/ライダー:「人間風情が、吼えたな!」

ドロッセル:あなたこそ、人間ごときに吠え面かかされるとは、思ってもみないでしょうけれどね。

人見:あいつ……サーヴァントなんかじゃないのに!


 そう。ドロッセル・カインはサーヴァントではない。人智を越えた武装集団、代行者といえど、神秘の極致たる存在であるサーヴァントと正面から戦うなどありえざる事態。 どれほどまでにサーヴァントと人の戦闘力はかけ離れている。
 ――だが、今この瞬間に限っては。“彼女”の殺意は一切の道理を無視する。


ドロッセル:(ころころころ)達成値35に、47点ダメージです!

GM:はい。ドロッセルの攻撃はなぜか軽減されず、そのまま素通しします。

バーサーカー:おやおやおやおやぁ?

ドロッセル:ダメージが入ったので、《踊る髪》と《蠢く弾丸》で硬直と重圧を与えます。

GM/ライダー:「馬鹿な! 英霊ならぬ身でこのような……!」(ころ)どちらも「対魔力」では防げませんでした。


 服の下から取り出されたショットガンが火を噴き、聖別された弾丸はライダーの鎧を砕く。当然その程度では致命傷になどなりえない。 だが、今の攻撃の本質はそこにはない。
「――――ッ!?」
 気が付けば、ライダーの全身を黒い繊維のようなものが縛り付け、その自由を奪っている。
 ショットガンのマズルフラッシュに紛れて射出されたそれは髪の毛。力を込めれば容易く引き千切れるはずの細い糸は、戒めとなってライダーを妨害していた。
「貴様、これはいったいどういう絡繰りか!」
「言ったでしょう? 監督役だと」
「サーヴァントを御せるが故のその発言だったというわけか……!」


ジョン:予想以上に強かったなあの女……。

ドロッセル:……まぁ、ダメージはそんなに伸びませんが。

GM:次は行動値8のジョンとバーサーカー。

バーサーカー:先に支援いただいてから殴りたいですね。

GM/ライダー:「……ック。今一度来るかバーサーカー。先ほど程度の攻撃では、儂への致命傷には程遠いぞ」

バーサーカー:…………。

GM/ライダー:「宝具を使え。それならば儂の命に届くやも知れん」と、明らかな挑発行為!

バーサーカー:生憎とあなたのようにハイカラなものは持ってはいないもので。ですが、届くまで斬ってみせるのも面白いかもしれません。……セイバー寝てますし。

ジョン:PLが寝てるな。じゃあ、《アドヴァイス》をバーサーカーに。

人見:もはや、誰のマスターだかわからなくなってるやんか!(笑)

ドロッセル:セイバーは 寝ていて いうことを 聞かない!

バーサーカー:セイバーのマスターさん。ここは一つ私に協力してくださいませんか。そうすればあなた方の陣営はセイバーの手の内を晒さないで済む。

ジョン:……道理だな。まずはあの馬から叩っ斬ってやれ!

バーサーカー:ありがとうございます。(ころころころ)達成値は65! ダメージは95点。

GM:はい。死にました。

バーサーカー:あら。蘇生エフェクトは。

GM:ない。


「ではその様に」
 言うが早いか白馬の首は宙を舞っていた。それを成したのは当然バーサーカー。瞬きよりも速く閃いた刀が、騎兵が持つ最大の優位性を奪い去っていた。
 愛馬の首が地に落ちるよりも早く、ライダーはそれを見た。
 先ほどまで首のあった部位を踏み台にして、悪鬼のごとき眼光をみなぎらせる狂戦士の姿を。
 ――宝具など使うまでもない。
 直後突き出された彼女の脚が、ライダーを馬上から蹴り落とした。


バーサーカー:そのまま馬から飛び降りて心臓目掛けて刺します。――おや、一太刀目で終わってしまいましたか。その心臓貰い受けます!

ジョン:やった! 霊核を貫いた!

GM:では、バーサーカーが突き立てた刀はライダーの心臓を確かに貫きました。が、彼は全く意に介した様子はありません。

GM/ライダー:「ク、クククク……見事! 見事な太刀筋よ! だがなぁ、それは無益というものだ、バーサーカー! 儂の心臓はそこにはない」と、一滴の血も流さずにそう宣言します。「Eロイス・不滅の妄執」を宣言します。

バーサーカー:なっ。

GM:そのまま首を失った馬とともに、霊体化してその場から離れ、再び実体化します。そうなると、馬ともども先ほどまでの傷は消えています。

人見:どうなってるんだ……?

GM/ライダー:「儂は不死身。そして儂が在る限り、我が馬も軍勢もまた不死身」

バーサーカー:……そうですか。それは。


「殺し甲斐があっていいですねぇ?」


GM/ライダー:「クカカカカ……。かつてその様に申した女を、儂は他にも知っておるぞ? だが、貴様はあの女王などではない。その太刀筋を見れば嫌が応にもそれは解ろうというもの」

バーサーカー:…………。

GM/ライダー:「儂と貴様に生前の縁なぞあるはずもなかろうが、聖杯はその名を記憶している」


「――のう? 沖田総司!」


バーサーカー:……なるほど。そう言ってきますか。

GM/ライダー:「此度は良いものを見せてもらった。褒美に貴様らを見逃してやろう……。精々拾った命を惜しむがいい」そう言い残してライダーは撤退しようとします。

バーサーカー:沖田総司と呼ばれたら、さっきまでにやにや笑っていたのが意気消沈します。はぁ……そうですか、私もなんだか興が削がれた気分です。あなたは私の太刀筋を見ても私の願うところまではわからないんですね。

GM/ライダー:「……フン。元より儂に剣士の気持ちなどわかるはずもあるまいよ。何故なら儂は奪うもの。聖杯を。貴様らの命を。魂を。誇りを。信念を。奪い、穢すものなのだから! ハハハハハハハハハ!!」そう夜の闇に声だけが響きます。

ジョン:物騒な野郎だな、あのライダー……。

バーサーカー:ではまた会いましょう。……次は殺します。

ジョン:アカン。こいつも物騒だ。

GM:では、時間も厳しいですが、マスターシーン行きます。


―エンディング:出現/決意―

 戦場から遠く離れ、小高い丘にてライダーは再び姿を表した。
 その身体には傷一つなく、バーサーカーたちとの激闘などまるでなかったかのようだ。
 不死身。
 堂々たるその立ち姿は嫌が応にもその称号の絶対性を納得させられる。
「あれ程の業の冴えとはやりおるわ。貴様はどう見る? 我が賢しき痩せ馬よ」
 ――““恐れながら我が主よ。手を抜いていたとはいえど、あのまま続けていても我らの勝利はありえますまい。””
 音ならぬ声で、主にのみ意志を伝える白馬。しかしその声音はあくまで重苦しい。
 彼は知っているのだ。己が主の戦力ではバーサーカーはおろか、セイバーにも勝てぬだろうと。
 だが、それを聞いたライダーは対照的に笑う。自分の見立てが間違っていないとでもいうように。
「カカカカカ……。流石、貴様はよく見ておる。であるならば仕方あるまい。今一度マスターの元に戻り指示を仰ぐとしよう」
 ――““御意のままに””
「――む? ……ほう。見るがいい。放っておいても状況は動くようだぞ?」
 ライダーは指で示す。遠方で今まさに起きようとしているこの島の異変を。
「――聖杯戦争は、始まったのだとな」


GM:突如島全体に地響きが巻き起こります。

ジョン:なんだこの揺れ!? 何が起こった!

GM:あなた方が見ている先で、城塞のごとくある建物が屹立します。それは――


 ――学校です。


バーサーカー:おおー!?

GM:キーンコーン、カーンコーン(低音)。「聖杯戦争にご参加中の皆様にお知らせします。明日から登校日となります」

バーサーカー:校長のきのこ先生が!

GM:そしてこの放送の声は、あなたがよく知る人――姫宮依乃のものでした。

人見:なぁ――!?


 立ち竦む人見たちの前で、それは出現した。
 それが何を意味することなのか、分かるものは誰もいなかっただろう。
 だが、それが何の意味を持つものなのかはただ一人が知っていた。
 ――学校。
 それも日本の高等学校校舎。
 見覚えがあるはずだ。聞き覚えがあるはずだ。なぜならそれは紛れもなく自分が通っていたはずの学校であり、自分が毎日顔を合わせていたはずの級友の声なのだから。
 ならばやるべきことは自明だろう。自分はどうあってもあの場所に行かなくてはならないのだと、人見好一は直感した。


GM:ここまでオープニング。

バーサーカー:シナリオは全然終わってないんですね。わかります。バックトラックは成功した体でいいですか?

GM:ええ。もう時間もないですからね。撤収――!




――――To be next School Life……


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―サーヴァント情報―
・セイバー
筋力:A 耐久:B+ 敏捷:C 魔力:C 幸運:D 宝具:A+
クラススキル 対魔力:B 騎乗:C
保有スキル ■■■:C 魔力放出(雷):B ■■:C ■■■■■:A


・ランサー
筋力:A 耐久:B 敏捷:B 魔力:B 幸運:B 宝具:A++
クラススキル 対魔力:B
保有スキル 神性:A+ ■■■:B ■■■■:? ■■■■■■:A


・アーチャー
筋力:C 耐久:A 敏捷:C 魔力:A 幸運:C 宝具:A
クラススキル 対魔力:B
保有スキル 神性:A+ ■■■:B ■■■■■:A


・ライダー
筋力:B 耐久:A+ 敏捷:C++ 魔力:D 幸運:E 宝具:C
クラススキル 対魔力:C 騎乗:A
保有スキル 変化:C ■■■■:A ■■■■■■■■■:A
宝具:《十二の鎖群ナカザニア》:D-
屍晒す敗北の軍勢ムーサル・ヴ・ナシャレ》:D


・バーサーカー
筋力:B 耐久:C 敏捷:A+ 魔力:E 幸運:D 宝具:C
クラススキル 狂化:A+
保有スキル 心眼(偽):A 縮地:B ■■:C


―スキル・宝具情報―
・魔力放出(雷):B
 武器・自身の肉体に魔力を帯びさせ、瞬間的に放出する事によって能力を向上させるスキル。
 厳密にはセイバー自身のスキルではなく、彼自身の剣――宝具が放つ雷によって発揮されている。

・神性:A+
 神霊適性を持つことを表すスキル。
 神と■■■■との間に生まれ、後に天へと昇り神と奉られたランサーとアーチャーは最高ランクの神性を有する。

・変化:C
 文字通りの変身能力。ライダーは人であったと同時に、出身地域では魔王や妖の類として扱われている。そのため、それにふさわしい姿へと変ずることを可能としている。


十二の鎖群ナカザニア
ランク:D-
種別:対霊宝具
レンジ:1~10
最大補足:1人
由来:ナカザニア。
 悪霊を縛り封じる聖別された十二本の鎖。
 ……が、ライダーによって破壊され、彼自身の宝具として奪われてしまったことで、そのランクを大きく下げている。
 その為、現状は少々頑丈で自在に動くだけの鎖に過ぎない。


屍晒す敗北の軍勢ムーサル・ヴ・ナシャレ
ランク:D
種別:対軍宝具
レンジ:1~50
最大補足:666人
由来:ムーサル・ヴ・ナシャレ。
 ライダーが率いる死霊の軍勢。時代の闇に葬られた敗北者の群れ。
 死霊たちの反骨心を無理やりに束ね召喚し、使役することができる。
 しかし彼の逸話において、この軍勢が姿を見せたときは既に敗れ、屍を晒すのみであったことから、この軍勢が勝利することは決して無い。精々が相手の体力を削るのがやっとである。


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